第10回 新しい未来を見つけ出すための6ステップ

未来はアイデア創造から生まれる

米国パルアルト研究所でパーソナル・コンピューターの原型となった「ダイナブック」構想を打ち出し、後にアップルコンピュータのフェローとなったアランケイの名言に、「未来を予測する最善の方法は、それを発明することだ」という名言があります。まさに本連載が目指すのはそのための実践法です。

しかし、未来を発明するといっても、それは単にテクノロジーによる技術製品を開発することだけを目指しているのではありません。また、それを可能にするのは、技術開発者や大学研究者などの専門職だけに限られているわけでもありません。

本連載が主な読者層として想定しているのは、主に社会人の方々ですが、今のビジネスマンに求められているのは、自らがチャンスや社会課題を発見するというアジェンダを設定する能力です。加えて、それを具現化し、解決していくための実務遂行能力だと言えます。未来の姿をいち早くつかみ取り、その中から新たなビジネスチャンスや課題解決のための方策にいち早く着手していくことが、これからのビジネスマンに最も求められている能力です。

私たちの行く先にどのような未来が待ち受けているのか、それを想像することは簡単なことではありません。加えてそうした未来社会の中に、どのようなビジネスチャンスが控えているかを見出すことはさらに困難です。おそらく、ちょっとした際に思いついた未来社会の商品・ビジネスアイデアなどは、すでに多くの人々が考えついています。

他人がなかなか発想できない新しい未来のアイデア、課題解決アイデアを発見することは簡単なことではありません。しかし、本連載でこの後に紹介する各種メソッドを活用していけばその近道につながるのではないかと思います。

未来のアイデアを考えるためのメソッド

私たちは、過去や現在を理解したり、分析したりするための方法論はすでに数多く持ち合わせています。例えば、企業の過去の業績やデータなどから、企業の現在の経営状況や財務状況を分析したりするといった方法です。しかし、それに比べて、未来を理解するための方法論についてはさほど充実しているわけではありません。天気予報や株価予想など、特定分野での予測技術は過去から比べると大きく進歩したと言えるでしょうが、社会の変化や政治体制の変化などを予測する手法はまだ十分に研究開発されているとは言えません。

未来を考え出すための6ステップ

本連載では、過去に開発された未来を考えるための代表的手法について説明します。未来を予測するさまざまな考え方や手法は、過去、多くの大学など学術機関やシンクタンクで研究開発なされてきました。これら手法は、現在では多くの企業や組織で活用されていますが、残念ながら日本ではあまり紹介される機会がありませんでした。そこで本章では、海外のフューチャースタディーズ(未来研究)による研究成果を参照しつつ未来を考えるための方法論を紹介して行きます。

最初に未来を考えるためのステップについて説明します。未来を考えるための手法やメソッドが数多く開発されていますが、本書では最も代表的なものであるフレームワーク・フォアキャスティングという手法を中心にお話ししていきたいと思います。この手法は、元々ヒューストン大学の未来研究プロジェクトにおいて開発されたものです。この順序は、専門的な先見性を推進する未来学者のグローバルなコミュニティであるAssociation of Professional Futurists (APF)が提唱する6つのフォーサイト・コンピテンシーを参考としたものです。

一般的にそれは、①フレーミング、②スキャニング、③フォアキャスティング、④ビジョニング、⑤プラニング、⑥アクションの順に行います。前半①〜③のステップは、主に今後どのような未来を訪れそうかという「ベースラインとなる未来」を構想するもので、後半の④〜⑥は、そうした未来に対して、わたしたちが「どのような行動を起こすべきか」、そのための方向性と具体的手順を考えるためのステップに分かれています。次回からこのステップを順に説明していこうと思います。

 

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