新しい未来を見つけ出すためのステップ①
フレーミング

最初のステップである「フレーミング」は、作業全体の予備プロセスとしてプロジェクト概要や作業範囲を明らかにしようとする作業です。作業を効率に進めていくためにも、初期段階においてどのように未来を考えるプロセスを進めていくか、その範囲や方針などを決めておくことは極めて大切です。フレーミングのプロセスにおいて、まず決めておきたいのは以下のような項目です。

  • テーマ:対象領域や分野、その内容
  • 期間:対象としたい未来の時期(5年後、10年後等)
  • 目標:最終的に明らかにしたい事象(未来の様相、新たなビジネスアイデア、課題解決の方法など)
  • アウトプット:最終成果物のスタイル(文章、イラストなど)

「未来の社会を考えたい」といった漠然としたテーマ設定は、そのために収集すべき情報の量や対象範囲があまりに不明瞭と言えます。例えば、「20年後のモビリティ環境」とか、「10年後の食生活環境」などといったように、検討すべきテーマや時期は予めハッキリとさせておいたほうが、その後の作業をより確かで容易なものとするでしょう。

一方で例えば、「10年後のネジ市場環境」など、テーマをあまりに細かく設定しすぎてしまうと、収集可能な情報があまりにも限定されてしまい、予測作業が極めて困難になることも考えられます。例えば、この場合は「10年後の接合部品市場環境」といった設定の方が、予測作業はより容易となることでしょう。

「○年後の」といった年代設定も重要です。「1年後」といった現在に隣接する時期の予測は、正確には未来予測と言う作業の範疇に入りません。現在のトレンドの延長線上を考えることで、おおむね1年後の社会環境は想像できてしまうからです(もちろん、天変地異災害といった不測の事態は除いた上ですが・・・)。一般的に、未来予測の検討期間範囲は、5年後から50年後の間を対象範囲とすることが多いようです。

一方で100年後や数世紀後の未来を予測するのも、いわゆる未来予測の範疇には入りづらくなります。このくらい先の期間となると、現在の技術発展や革新の延長線上での予測範囲を遙かに超えてしまいます。言ってみれば、100年後の世界を考えることは、SFやファンタジーの世界といった空想の範疇であるとも言えます。もちろん、こういった空想や想像力を一概に否定するものではありませんが、タイム・ホライズンが先になりすぎると、それだけ不確定要素が多くなりすぎてしまい、情報の精度はファジーなものになります。

未来予測のプロセスを通じて得たい最終ゴールを明らかにしておくことも大切です。「企業の長期計画を立案するために10年後の社会環境を見据えたい」「今まで、自社で手がけていなかった新事業アイデアの可能性を将来環境を前提として考えたい」「10年後の国際環境を想定して企業戦略立案を行いたい」「20年後に花開きそうな基礎技術のレビューを行いたい」「30年後に向けて自社のやるべき戦略を明らかにしておきたい」このようにニーズはさまざまだと思います。

目標と同時にアウトプットイメージもフレーミングの段階である程度明確にしておくべき事項です。これは最終ゴールと連動した形で定められるでしょう。長期計画のための10年後の社会環境であれば、一般的な社会環境と自社に関連する事業外部環境項目に沿った事象を考えることが主になるでしょう。10年後の新事業アイデアでは、事業アイデアそのものがアウトプットとなります。未来の生活環境をより具体的に照射するために、シナリオライティングで文章として表現したり、イラストや映像などによりビジュアルイメージとして表現するなどの方法も効果的でしょう。

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