温暖化が進み、新・地域名産品が生まれる

近年は、地球温暖化の影響もあり、異常気象が日本のみならず、世界各地で起こっています。 

地球温暖化は、18世紀の産業革命以降すでに1℃上昇し、10年間では0.2℃のペースで上昇を続けています。IPCC(温暖化対策の科学的側面を担う気候変動に関する政府間パネル)の第48回総会(2018年10月開催)では、2040年頃に世界の平均気温が工業化前に比べて2℃以上上昇すると予測し、1.5℃を努力目標として掲げています。 

温暖化に伴い多発が予想される異常気象(高温、大雨、多雨、台風、集中豪雨など)現象リスクにいかに備えるかという社会的ニーズは今後さらに高まっていくことになるでしょう。防災・災害マップの作製、災害に備えた地域の共助体制づくりといった予防対策に加えて、企業経営としていかに災害リスクに備えるかといたリスク・マネジメントのニーズもさらに高まっていくことでしょう。予測の精緻化や天候ディリバティブ、災害保険、災害債権のニーズも増加することが予想されます。 

一方、温暖化の影響は災害リスク上昇のみならず、植物や海洋資源を取り巻く環境にも変化を及ぼすことが予想されます。一般的に、植物や水産資源は、それぞれに最も適した環境下で育成栽培されたり、収穫されたりするものです。例えば、ワインの産地は、一般的には北緯、南緯ともに30~50度あたりの地域が栽培に適した「ワインベルト」として知られています。同様にコーヒー豆は、北緯・南緯0~25度の熱帯雨林地域が、栽培に適した「コーヒーベルト」と呼ばれています。「バナナベルト」もほぼ同じ地域です。

 

しかし、温暖化はこうした地域産品の「適地」という概念にも変化をもたらすでしょう。すでに一部できざしは表れていますが、もしかすると2050年には九州がコーヒーの一大産地に、北海道ワインが世界市場に打って出ているかもしれません。地球温暖化は、今までの地域名産品ブランド・マップにも大きな構造変化をもたらしてくるでしょう。さらには、新しい植生やその地で栽培、漁獲される自然物と、代々その地で培われていた食品加工技術、例えば醸造・発酵技術などがミックスされることによって、新しい地域名産品が生まれてくるかもしれません。もしかすると、ご当地名物としてのアラスカワイン、コーヒー焼酎、バナナ味噌といった全く想像もできなかった新しい食品が誕生してくるかもしれません。 

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