“消費バウンダリー”という足るを知る生き方

SDGsのもとになった概念として、人類が安全に暮らすことできる地球の限界点のなかで成り立つ社会や経済へと転換していこうというプラネタリー・バウンダリーという概念があります。再生可能エネルギーへの転換、リサイクルやリユースなどを通じた循環型社会の実現などさらなる技術革新も望まれますが、一番確実かつ大事なのは、不必要なものを作らない・必要以上に資源やエネルギーを使わないということではないでしょうか。

私たちが暮らしてきた社会は、豊かさのために規模の拡大(成長)を前提としてきました。もちろん成長は雇用の観点で大事であるのですが、昨今のものが溢れて環境汚染が深刻になっている状況は、豊かさの実現のための手段であった成長が目的化してしまっていると思われます。

残念ながら、現時点では私たちが無尽蔵に消費しても尽きることがなく、二酸化炭素排出などの環境にも影響を与えることのないエネルギーや資源は存在しません。つまり、私たちが消費の量を適切な範囲に押さえない限り、環境問題の解決はあり得ないのです。

こういった環境やエネルギー負荷を考えながら、消費者一人ひとりが、自らの消費を制限する生き方が「消費バウンダリー」です。「消費バウンダリー」を志向する消費者は、家庭のエネルギー使用量と使用内容をチェックし、(穀物や水を大量に消費し、二酸化炭素やメタンガスを排出するため)毎日の食事も肉を摂りすぎないように意識します。また、メーカーや小売に対しても、環境負荷がかからない商品サービスを要求するようになります。

このような消費者の意識や運動が高まると、将来的には、「消費バウンダリー」を超える消費に高い税金が課される、或いは各個人に「消費バウンダリー」の上限が割り当てられるという世の中が実現するかもしれません。少し不便で窮屈な世の中に感じられるかもしれませんが、量ではなく、私たちを本当に幸せにする質の高い消費とは何なのか、いま一度問いただしてみるタイミングに来ているのかもしれません。

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