未来のファッションは、“マルチトレンドファッション”に

ここ数年、サスティナブルファッションという言葉が話題になっています。

ご存じの方も多いと思いますが、衣料の大量廃棄が地球規模で問題になっています。また、洋服一着を作るために、500ミリペットボトルで255本分の二酸化炭素が排出され、浴槽約11杯分の水が必要になるなど、製造にかかるエネルギー使用量は膨大です。

環境省は「サスティナブルファッション」への取り組みの必要性を紹介しています。※1

一方で、ほぼ環境負荷の無いデジタルファッションというものが生まれています。これは、メタバースで身に纏う架空のファッションとでもいうものですが、海外発のデジタルファッションブランドの洋服を見ると、そのバリエーションに驚きます。

現実の洋服では使えない形状や素材を使うことも可能なので、まるで建築のような造形美を表現することも当たり前にできます。今後メタバースで過ごす時間が増えると、デジタルファッションが必要になってきますし、リアルでもソーシャルメディアを通じた自己表現として重要な位置づけになってくるでしょう。

環境負荷への配慮に加えて、リアルではどんな洋服を未来の私たちは着る可能性があるでしょうか。3Dプリント技術の進化などにより、リアルでもデジタルファッションと同じような今まであり得なかった構造のデザインも可能になってくるかもしれません。そして、素材はバイオマテリアルのファッションが主流になってくるかもしれません。

さらに、ファッションに欠かせないのがメイクです。未来ではどのようなジェンダーも自分の美の価値観に合わせたメイクをしているようになりそうです。

「パーソナライズ」は、すでに世界的なトレンドで、どんな肌色のファンデーションもそろえることが可能になりましたが、未来では、そこに個人の求める美の価値観を掛け算し、さらに自由な表現が可能になるでしょう。

結果、技術と価値観両方の進化により、10年後のファッション&ビューティーのトレンドは、過去に使われなかった色、形状、素材が多用され、今よりも多くのロールモデルが出現し、どのファッションサイトを観ても同じような顔やファッションのモデルが並んでいるという現在のような状況はなくなっているかもしれません。

そして、トレンドが世界的に多極化することで、逆に、より自分のアイデンティティやルーツを大事にする人、伝統的な衣装を大事にする人も増えてくるかもしれません。とりわけ、今後はアジア、アフリカの人口ボリュームが拡大してくるので、アジアやアフリカ的なファッション要素が活用されることも多くなりそうです。※2

結果、10年後の未来ファッションは、リアルでもメタバースでも、画一的なトレンドにとらわれることない自由なマルチトレンドファッションを楽しむことが当たり前になっているでしょう。

例えば、リアルではバイオマテリアル素材で作られたアフリカンプリントの洋服を着る人もいるでしょうし、おそろいの歌舞伎のメイクをしてシミラールックで銀座を歩くカップルも見られるかもしれません。また、一方メタバースでは、体は日本にいつつも、高級着物でパリの街角を散歩することもできるでしょうし、インドの会社の面接を受けるのであればサリーを着てメタバース上のデリーのオフィスに出向くこともできるでしょう。

伝統を大切にしつつも、個々人が常識にとらわれずに、自由に発想できるファッションの世界がくるかもしれません。毎日、同時多発的に様々なファッショントレンドが世界中で生まれている、そんな世界になっているかもしれません。

(出典)

※1 環境省  https://www.env.go.jp/policy/sustainable_fashion/

※2 UN World Population Prospects 2022 https://population.un.org/wpp/

メタバース・デー
新着記事 人気記事
エブリモーメント・リゾートライフ
メタバース・デー
新着記事 人気記事
エブリモーメント・リゾートライフ