”次世代ペット”がもたらす新たな日常

家族三世代が一つ屋根の下に暮らしていた時代から、親と子の二世代が独立して暮らすことはもはやあたり前になりました。かつて、「世帯」や「家族」という言葉は、血縁関係にある人々同市が共に住まう形を表現するものでしたが、時代や価値観の変化とともに、共に住まう形も多様な形に変化しています。

日本の家族の平均世帯人員は2020年の2.26人から2030年2.15人と縮小が続いています。2030年の日本の傾向としては、「夫婦と子世帯」は24.5%、「夫婦のみの世帯」が20.8%、最も多くなるのは「単身世帯」が37.9%、という予測もでています。※1単身世帯の増加とともに日常の交流機会が減ることで孤独感を感じる人々が増加するのではないかという懸念も生じます。

そこで注目したいのが、ペットの存在です。ペットは、単身者にとっては孤独感を解消してくれる存在として、また家族や夫婦にとっても、その関係性を繋ぐ絆や癒しの存在として重要な役割を果たしてくれます。特に、コロナ禍を機に、ペットの存在感はさらに高まったように思います。実際、2021年の新規飼育頭数は犬、猫ともにコロナ禍前より大幅に増加したようです。※2在宅時間の増加により、コロナ禍において寂しさの解消や癒しを求めてペットを飼い始めた人が多く、在宅時間が長いリモートワークの普及も飼いやすさを後押ししたようです。ペットフードだけでなく美容院や医療サービスなど、ペットへのケア意識も高まったり、ペット連れでの外食や旅行といった余暇への出費も増えており、新たなサービスの機会点とも考えられています。

では、未来のペットは一体どんな姿で、我々人間に何を与えてくれるのでしょうか?今でも犬や猫などの感情を読み取ることのできるツール等が開発されていますが、10年後にはより色々な技術が進化しているでしょう。ペットに特化した翻訳アプリの開発もされています。動物の言葉を人間の言語に翻訳するシステムです。もし機械で動物の気持ちを人間がわかるようになったらどうでしょうか?動物の病気が事前に把握できたり、心の状態や今抱えているストレスまでわかるでしょう。そうなれば、今よりも正確な健康管理ができるようになり、ペットの寿命も延びるかもしれません。

姿や形で考えると、例えば遺伝子技術の進化により、ペットの体格や色を自由に変える技術がより進化することも想定されますが、まだ倫理的な問題も残されているでしょう。また、今のような生身の動物ではなくなる可能性もあります。ロボットペットが日本に登場したのは今から20年ほど前ですが、今後はAI技術が進歩し、より人間の感覚や表情に近い表現ができるロボットペットが登場するかもしれません。犬や猫だけでなく、うさぎや鳥など多様な種類のロボットペットの登場も考えられます。

仮想現実技術が進化すれば「バーチャルペット」のように、自分で作り上げたペットをメタバース空間で飼う事や、生きてるうちにペットの行動記録をAIに機械学習させてロボットペットがかつて買っていた犬のように振舞ってくれるなど、新しい可能性が広がっていきそうです。

そして、いずれはクローンペットも。現在でもクローン技術は存在するようですが、将来的には、ペットをクローン化できるようになり、飼った犬が亡くなる度に、クローンを作りだし、1代目、2代目、3代目・・・と、同じペットを自分が亡くなるまで飼い続けることもできるようになるかもしれません。倫理上の問題もあり、日本ではまだ拒否感もあるようですが、今後より高度な技術が開発されて問題が解消される可能性もあります。それが一般人に普及する時代になれば、ペットロスによる悲しみは軽減し、一生添い遂げてくれるペットと共に生きていく事も夢ではありません。

このように、人間と感情を理解しあえるペットやロボットペットが家族の一員になることによって、孤独や孤立化という未来の社会課題が解決されること、家族のコミュニケーションがより豊かなものになることを期待したいと思います。

 

※1出典:「日本の世帯数の将来推計(全国推計)-2018(平成 30)年推計- 」

※2.社会法人ペットフード協会発表

※3.https://newspicks.com/news/2800865/body/

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