「自由視点VR」で、追体験がライブを上回る時代が到来する
ラグビーワールドカップは大きく盛り上がりましたが、興味深い映像技術が試されていたのをご存知でしょうか。
フィールドにあらゆる角度からカメラを設置し、同時に撮影した映像をネットワークでつなぎ、高精細な3D空間データを構築し、あらゆる角度から映像を見ることができるシステムで、自由視点映像と名付けられています。今回のワールドカップでは、横浜国際競技場で実施されました。 特にNHKがオールブラックスの強さの秘密を解き明かすために、この映像を使ったのが大きな話題になりました。
この自由視点映像は、それだけでも十分に未来を感じさせるものですが、さらに未来はどのようになっていくでしょうか。一つにはVR技術との融合が挙げられます。ヘッドセットのディスプレイで、自由に視点を切り替えながら、様々な位置からスポーツやライブ映像を観覧する。音楽もヘッドセットのディスプレイを通じて、立体音響で周囲の歓声も交えて立体的に聞こえるといったことが、可能になります。
さて、自由視点VRでの体験がよりリアルに、より迫力あるものとして得られるようになると、生活者のスポーツやエンターテイメントへの価値観は大きく変わるかもしれません。サッカー場やライブ会場で観客として、リアルタイムで体験する時は一か所からしか見たり聞いたりはできません。しかし、自由視点VRならば、観客席のどのような位置からも、さらに言えば、競技場のど真ん中やライブのステージの上や、アーティストの目の前にすら立つことができるのです。しかも立体的に音声も体験できる、時間に縛られることなく、いつでもスポーツやエンタメを体験できるとなると、自由視点VRを通じた追体験が生の体験と同等以上の価値を持つようになるかもしれません。
無論、夏フェスやスポーツの日本代表戦のようなリアルタイムにその場で共有することの体験価値は変えがたいものではありますが、ビジネスの視点で見るとそこで得られる収益は限界があります。こうした新たなコンテンツの提供は、エンタメコンテンツに新たな価値を与え、より多くの人が一つのコンテンツを楽しめるようになるでしょう。