エイジテックが超高齢社会の課題を解決する

4次産業革命下にあると言われる現在、イノベーションの中核に存在しているのは、AIIoTAR/VR/XR、クラウド、ビッグデータ、センサーといった新たな革新技術です。このテクノロジーを活用したビジネス・イノベーションは、金融、食品、睡眠、法律など、多様な領域で起こりつつありますが、エイジテックもそうしたイノベーションのひとつとして注目されるものです。 

エイジテックは、今後世界各国に訪れてくる超高齢社会もしくは高齢者を対象とするデジタルイノベーションの総称です。これにより、これまで高齢者を対象として提供されてきた各種サービスの効率が改善するだけでなく、今まで不可能もしくは実現困難と思われていた超高齢社会での社会課題が解決し、新たに高齢者を対象とする革新的なサービスやソリューションが生まれてくることが期待されています。 

 エイジテックが注目されるのは、いうまでもなく今後、先進国を中心に高齢化の波が押し寄せてくるからです。国連の将来人口推計(2019)によると、欧州の高齢化率は19.1%、次いで北アメリカ16.8%、オセアニア12.8%、アジア8.9%の順ですが、今後もなだらかに高齢化が進行し、欧州は2025年に、北アメリカは2035年に高齢化率は21%を突破することが予想されています。 

 高齢者人口の増加はすなわち潜在マーケットとしての市場成長性を感じさせるものです。こうした高齢化の動きに対し、近年のデジタルイノベーション技術を活用しながら高齢社会課題解決を図ろうとするのが、エイジテックの動きなのです。

 

 具体的な事例をいくつかご紹介しましょう。米国ニューパンプシャー州に本社を持つピルパック社は、一元管理サービスでオンラインによる処方薬の提供と、服薬管理サービスを行おうというもの。米国の医療用医薬品市場5600億ドルとも言われるなか、慢性疾患の多い高齢者を主な対象としてサービスを提供しています。ニューロ・リハブVR社(テキサス州)は、バーチャル・リアリティ機器を活用し、脳卒中や脳損傷、脊髄損傷後に理学療法を受けている高齢者などにゲーミング要素を盛り込んだリハビリテーションを提供し用途するものです。ワイズフィット(米国カリフォルニア州)は、「50代からの究極のフィットネスツール」を標榜し、主に女性層を対象としたオンラインフィットネス・アプリです。高齢者の運動能力を配慮し、バーピー(スクワット&ジャンプ)や腹筋など身体への負荷が強く、怪我をする可能性の高いプログラムは採用せず、穏やかに負荷をかけ、長期間続けられるようなプログラムを採用しています。 

さまざまな企業が現在参入するエイジテック市場を格好の投資対象と考えるベンチャー・ファンドもジーグラー・リンク・エイジ(Ziegler Link Age)、4Genベンチャーズ(4Gen Ventures)をはじめ数多く生まれつつあります。 

一般に高齢化は、国の社会保障費用負担を増やし、若者世代の負担増加を招くなどの声が寄せられることも多いですが、一方で高齢化はこうした社会イノベーションのチャンスであるということも知っておくべきでしょう。 

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