第4回 「変化」について

「時間」と「予測」に関する基本的な概念を説明しましたが、未来を考えるにあたってもうひとつ知っておくべき基本項目に「変化」があります。振りかえればこの10年ほどの間にもさまざまな社会変化(中国の台頭)や技術変化(ITの進化)や環境変化(温暖化)がありました。つまり言い換えれば、「過去」と「現在」の違いは、「何らかの変化が起きた」結果と言えます。それと同様に「現在」と「未来」の間にどのような変化が起こるかを考えることが未来を考えるということになります。

変化には、社会を動かす「パブリックな変化」と、個人や家族、コミュニティに起きる「パーソナルな変化」の2種類があります。結果として「多くの人が変わった」と感じる「パブリックな変化」が社会を動かし、未来の社会を形成していくことになります。

変化は、その「スピードと幅」にも留意する必要があります。社会や生活の変化は、数ヶ月から数年で「急速に変化する」場合もあれば、数十年から数百年かけ「ゆっくりと変化する」場合もあります。インターネットやスマートフォンの普及は、短期間で広がったケースと言えるでしょう。一方、「動物愛護」や「女性活躍」などは、(その善し悪しは別として)ゆっくりと変化するケースと言えるでしょう。

変化には、「連続的な変化」と「非連続な変化」もあります。地球温暖化は、連続的変化のケースでしょう。2020年のコロナ災禍や2011年の東北大震災はまさに「非連続な変化」でしょう。連続的変化は、人々の理解も比較的得やすく、さまざまな対応もあらかじめ検討されます。しかし、不連続な変化は、それまで誰もがその予兆に気づくことなく唐突に訪れてくるものです。こうした非連続的な変化は「ワイルドカード」(詳細は改めて説明)として説明されます。

一方、世の中の全ての事象や現象がすべて変化するわけではありません。殆ど変化しない、もしくは変化するとしてもきわめてわずかしか動かないものもあります。例えば、食生活は、食の簡便化や健康志向など一定の変化はありますが、テクノロジーの変化などと比較すればゆっくりとした変化であると言えるでしょう。

変化には、「恒常的な変化」ではなく、「一時的な変化」をもたらすものもあります。例えば、ファッションのモード(流行)や食のブームなどは、長期的に見れば恒常的変化(例えば、和装から洋装へ)もありますが、多くは1年から長くて数年程度のブームで終わるものも多いです。中長期的な未来予測を行う場合には、今起こっているトレンドが、こうした一時的ブームで終わるものか、もしくは恒常的変化をもたらすものとなりそうなものかを判断していくことも大切になります。

一般に、時代が大きく変化を見せる移行時期には、「混迷」や「混乱」が起こります。新しい時代に相応しいシステムや制度、機器に馴染むことが出来ず、新システムへの移行を阻もうとする人、拒否する人も出てくるでしょう。馬車から自動車への移行、固定電話から携帯電話、スマホへの移行においても一定の人々の抵抗がありました。そうした人々に対しては、いかに変化対応させていくかが新時代の移行には課題となるでしょう。古い時代に慣れ親しんだ人々にとって、新しい制度に慣れ親しむことは苦痛でもあります。さまざまな旧態依然とした制度が残る日本社会にとっては、いかに古い制度を捨て去り、新しい制度に移すための制度的移行も重要だと言えるでしょう。

こうした変化の様相を、ロンドンのスクール・オブ・インターナショナル・フューチャーズのディレクターであるアンドリュー・カリーとH3UUni(A University for the Third Horizon)の理事兼研究ディレクター、アンソニー・ホジスンは3つの地平(ホライズン)の変化として説明しています。ホライズン1は、現在主力となっているシステムです。しかしこれは、外部環境の変化とともに、時代と相関を次第に失っていきます。ホライズン3は、ホライズン1に代わり主力となっていくシステムです。それは現時点においては、弱いシグナルとして認知されているものかもしれませんし、あるいはまだ現れていないワイルド・カードである可能性もあります。またそれは、現時点では、それはひとつではなく、複数の可能性として存在している場合もあります。そしてホライズン1と3の間に存在するのは、非常に不安定な遷移の空間であるとしてのホライズン2です。アンドリュー・カリーたちは、それぞれのホライズンを「メンテナンスの領域(ホライズン1)」「アントレプルナ−の領域(ホライズン2)」「ビジョナリーの領域(ホライズン3)」と名付けました。
変化が進むことは、主流が変わること、いままであったものが別のことに変わること、今後何が変化するかを考えることです。それが、すなわち未来の社会を考えることに繋がるのです。

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