未来社会の海を泳ぎ抜く、"マイノリテリジェンス"という能力

お父さんと子供が、料理を一緒に作って楽しんでいる。近頃、そんな広告のシーンが増えたようです。家族のあいだで誰が何の家事をするのか、役割を決めつけない。そうした考えを背景に設定された生活場面でしょう。他には、同性カップルが登場する広告や、太めの体型のマネキンを店頭に置くファッションブランドなども出てきています。家族の役割分担はひとつではない、人の愛し方はひとつではない、美の基準や健康のあり方の正解はひとつではない…多様性が問われる今の社会の流れがうかがえるものです。未来には、その傾向はもっと進むでしょう。

多数の価値観が存在する時、マイノリティーへの配慮や想像力を働かせることが求められる。その能力を、「マイノリテリジェンス」と呼んでみます。視覚障害の人がwebページの読み上げ機能を使っている時に、突然動画が自動再生されたら困るだろうな。異国の宗教の人が亡くなった時に、葬儀をどうすればいいんだろう。少子化の時代、子供の気持ちを理解できない大人たちの声ばかりが大きいのは不公平だよね。・・・マイノリテリジェンスが備わっていたら、このような今後増えていくであろう問題に対処が早くなります。

もちろん、ひとりの人がすべての可能性を網羅することは困難です。後から後から新しい多様性も現れてくるはず。マイノリテリジェンスの最新事情に詳しい専門家が新たな職業となり、メディアや企業に対してアドバイスをするようになるでしょう。また、SNSの口コミや様々な発言、論調をAIが収集して、最新事情を把握するようなプログラムも開発されるに違いありません。

特に昨今、政治家や企業の経営層が配慮に欠けた物言いをして炎上するケースが目立ちますが、何かの発表をする前やメールを送信する前に、プログラムが内容をチェックして問題を指摘する、さらに修正するところまでサービス化されてもおかしくありません。機械にモラルを教えられるのも奇妙ではありますが、それを繰り返して人間が学習していくのも、未来っぽい姿に思えます。一方で、「女性は赤、男性は黒のような固定した色はやめて、全く同色にしよう」や「昔話やおとぎ話で味方と敵の勝負がはっきりつくのは一方的だから、マルチエンディングにしよう」という話も聞こえてきます。どこまでやるべきなのかのバランスの見極めも、必須のスキルになりそうです。

予期しなかった角度から出現する思いがけない衝突を回避して、すいすいと渡っていく。マイノリテリジェンスが、未来社会の海を泳ぐカギになる。あなたも、「これって、もしかしてそうじゃない?」と思う例に出会ったら、今から頭の中の引き出しにストックしておくといいかもしれません。

 

 

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