「モーニングエコノミー」による24時間観光化がオーバーツーリズムを平準化する

2020年の東京オリンピック・パラリンピックを控えて、訪日外国人は増加し続けています。日本政府は2020年の訪日外国人数の目標を4000万人としており、さらには2030年には6000万人を目標に掲げています。

一方で、すでに京都や鎌倉などの世界的に有名な観光地では、観光客増加による混雑やマナー違反などに伴う住環境・市民生活へのトラブル、いわゆる「オーバーツーリズム」が顕在化しはじめています。

日本の訪日外国人の満足度は依然として高いものの、今後さらなる増加が続けば「オーバーツーリズム」対策は喫緊の課題となっていきます。

最近は対策として、観光客の流入時間を調整しようと言う動きが増えています。

桜や紅葉シーズンに圧倒的に観光客が増える京都市では、早朝観光の推進や観光客数が少ない夏冬の観光推進による観光客数の平準化を行っています。二条城では早朝に京料理が楽しめる観光プランを提供して大人気になっています。夜観光もライトアップや限定公開を行う寺社も増えてきています。一歩踏み込んで京都の嵐山地区では、Wi-Fiのアクセス状況をもとに混雑予測の情報を公開する実験を行った結果、閲覧者の5割が混雑する時間を避けたという結果も得られました。

また、昨今では日本は特に夜の観光需要が弱いという欧米の観光客からの指摘に応じる形で、ナイトタイムエコノミーの推進が議論されています。ナイトタイムエコノミーは、観光庁の後押しもあり、今後、さらなる拡大が見込まれています。

一方で、実は早朝から午前中にかけてもまだまだ掘り起しができるのではないでしょうか。海外に目を向けてみると、台湾や香港などのアジア圏は美味しい朝食を提供する専門店が街中のあちこちにありますし、実はロンドンやパリなどの欧州の都市でも、有名なレストランが、ランチだけでなくブレックファーストを提供している店が多く見られます。朝食を提供するレストランが多い都市では、朝早くから観光客が行動を開始するので、8時、9時の比較的早い時間から観光地やお店を開けるようにもなります。

外国人観光客の日本観光でのニーズとして、常に食は上位にあります。現状、インバウンド需要に対して、外国語対応の拡充などが積極的に勧められていますが、時間という視点ももう少し強調しても良いかもしれません。ロンドンのイングリッシュブレックファーストや台湾の豆漿のような特色のある朝ごはんを、美味しくちょっと豪華に提供すると外国人観光客の引き合いも大きそうです。

特に2020年の東京オリンピック・パラリンピックは、暑さ対策もあり競技時間が早朝に多く開催されます。朝から行動する観光客が増える状況で、どのようにおもてなししていくか、日本のインバウンドをさらに拡大するチャンスではないでしょうか。

 

 

 

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